「5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)」に関する合併症の情報について

最近、他の少数の眼科クリニックで使用されている「5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)」について、合併症が報告されているようです。
5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)はイスラエル製で、日本国内未認可のレンズです。
日本だけでなく、全世界的ではほとんど使われていません。
しかし日本のごく限られた眼科では使用されているようですが、大宮七里眼科では5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)については安全性および効果が確立されていないため、使用をしていません。(2022年6月現在)

大宮七里眼科が5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)を使用を控えている理由は以下です。

理由1 5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)は合併症のリスクが高いと言われている

5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)は日本国内でごく少数の眼科クリニックしか使用されていませんが、国内の症例で眼内レンズ挿入後の固定位置に関する合併症が頻発していることが報告されているようです。
まだ表立っての報告はないので詳細は不明です。
しかしごく少数の眼科クリニックが少ない症例にしか使用をしていないのにも関わらず合併症が報告されていることは、その率が極めて高いことを意味しています。
過去に他の眼内レンズで固定位置に関する同様の事例があり、5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)に関しても十分にありうる事例だと考えています。
眼内挿入後の固定位置の多くの原因は眼内レンズの材質のためか、その構造によって起こります。
眼内レンズ挿入後の固定位置によって視力が低下するのか、ハローやグレアなどの現象が増えるかなどは不明です。

それに対して、大宮七里眼科で2022年6月現在主に使用している多焦点眼内レンズ(パンオプティクスやテクニス・シナジーなど)は5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)よりもはるかに多い症例数に使用されていますが、そこまで高い合併症は報告されていません。
つまりパンオプティクスやテクニス・シナジーでは眼内レンズの位置異常に関して、5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)よりも頻度が極めて低いことは間違いありません。
従って、5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)は使用するべきではないと考えています。

理由2 5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)は全世界的にほとんど使用されておらず、データがほとんどない。(2022年6月現在)

コロナ感染の影響もあり、5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)は、アメリカ、ヨーロッパではほとんど使用されておりません。
したがって5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)のデータもほとんどありません。
医学論文も少なく、あってもごくわずかな症例数の発表しかありません。
新しい眼内レンズが開発された場合、通常は厳格な治験を行い、慎重に眼内レンズの使用を開始します。
しかし5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)に関しては世界的にはほとんど使用されていないにもかかわらず、日本のごく一部の眼科でのみ使用されているのか実状です。
5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)は日本で治験を行なっておらず、そのため安全性は全く確認されていません。

5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)に実際に5つの距離に焦点を合わせる効果があるのか、あったとしても他の眼内レンズに比較してどのようなメリットがあるのか、デメリットはないのか、それぞれの視力の視力が果たして他の眼内レンズよりも良好なのか、ハローやフレアなどの副作用がどの程度なのか、などわかっていないことだらけです。

眼内レンズは一生目の中に入れておくものなので、材質や製法について、厳格な基準が設けられています。
しかし5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)このような基準に見合った製法なのか、どのような材質なのか、チェックを受けていません。
眼内レンズはごくわずかな材質、製法の違いによって結果に差が出ることがあります。
5焦点眼内レンズ・インテンシティーを製造しているイスラエルの会社「Hanita Lenses」という会社です。
「Hanita Lenses」は5焦点眼内レンズ・インテンシティーしかほぼ出しておらず、この会社の眼内レンズについて使用したことのある眼科医はほぼ皆無です。
従って5焦点眼内レンズ・インテンシティーと同じ材質、製法で作られている他の眼内レンズについても、安全性が確立されていません。
したがって、大宮七里眼科では2022年6月現在、5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)については使用を控えています。

大宮七里眼科は患者様に常に医学的証拠の基づいた医療だけを提供しております。
したがって大宮七里眼科は2022年6月現在、このようなデータの全くない5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)のような眼内レンズを患者様に使用をしない方針としています。

理由3 すでに日本では全焦点型眼内レンズのテクニスシナジーや、日常生活上優れた視力を提供する「自然視覚レンズ」パンオプティクスが国内での認可を受けているため、それらよりも大きく優れる可能性のない5焦点眼内レンズを使用する必要がない。

眼内レンズの焦点は多ければいいわけではありません。
2焦点眼内レンズよりも3焦点眼内レンズの方が見え方も良く、他にもさまざまなメリットがありました。
しかし5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)の方が3焦点よりも優れているデータは現在のところありません。
5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)のデザインはあくまで今までにもあった回折型の多焦点眼内レンズであり、テクニスシナジーやパンオプティクスに比較して格段に見え方が良いという可能性はありません。

理由4 5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)は日本未認可であり、合併症が起こった場合にメーカーが責任を取らない。

5焦点眼内レンズ・インテンシティーは日本未認可レンズです。
未認可ということは、何か重篤な合併症が起こったときにメーカーや輸入会社はその責任を取らない可能性があります。
5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)など、日本国内未認可の医療には気をつけなければいけません。

理由5 「多焦点眼内レンズの焦点の数は多いほどいい」というわけではない。

多焦点眼内レンズ眼内レンズのデザインは、もともと2焦点から始まりました。
しかし2焦点眼内レンズはコンピューター作業などの中間距離において、少し焦点が合いにくい傾向がありました。
それを改善したのが3焦点眼内レンズ(パンオプティクスなど)や、連続焦点型眼内レンズ(テクニス・シナジー)です。
パンオプティクスやシナジーは、手元と中間の日常生活上でよく使う距離に焦点があっています。

多焦点眼内レンズの焦点は、理論上はたくさん焦点距離をもつほど、一つの焦点での視力は落ちます。
5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)がどの距離に合っているにしても、焦点の数が多いということはそれぞれの距離への視力は3焦点眼内レンズよりは落ちる可能性が大です。
また5焦点眼内レンズの焦点距離がどこにあっているのかは詳細不明ですが、仮に日常生活でほとんど使わない距離に焦点があっていたとしたら、日常生活で重要な距離への視力は落ちます。
もし多焦点眼内レンズの焦点数をむやみに増やし、日常生活で使わないような距離に焦点があっていても意味がないということです。

「多焦点眼内レンズの焦点の数は多いほどいい」というわけではないことを知っておいてください。

理由6 5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)はハローやグレアの程度が確認されていない。

多焦点眼内レンズはハローやグレアなどの症状が単焦点眼内レンズよりも起こりやすいと言われています。
焦点の数が多ければ、ハローやグレアが多くなる可能性があります。
5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)について回折構造のリングが多いことから、ハローやグレアなどは従来の眼内レンズよりもひどくなる可能性は十分に考えられます。
しかし5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)はデータがほとんどないため、ハローやグレアについても程度は確認されていません。

以上、5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)について、大宮七里眼科からの意見を書きました。
「焦点は多い方がいいに決まっている」「5焦点眼内レンズ・インテンシティ(INTENSITY)は他の眼内レンズよりも優れている」といったインターネットでの情報に惑わなれないよう、お気をつけください。