多焦点眼内レンズは、慣れるまでどのくらいかかりますか?

Q:白内障の手術を受けることになりました。
メガネが必要なくなると聞いて、多焦点眼内レンズを入れようと思っているのですが、多焦点眼内レンズは単焦点レンズと比べて違和感を感じやすいという話もあり、不安です。
白内障手術後、時間が経てば慣れてくるのでしょうか。
慣れるまでにはどのくらいかかりますか?

A:白内障手術後、眼内レンズの見え方に慣れるまでの期間は個人差がありますが、数週間から数か月で慣れる方がほとんどです。
眼内レンズを入れた直後にやや見えにくい感じがするのは、物を見るプロセスは目だけではなく脳が深く関わっているからです。
目から入った信号は視神経を通って脳で情報処理します。
白内障の患者さまの場合、手術を受けるまでは、濁った水晶体ごしにものを見ていることに脳が慣れていました。
それが手術で濁った水晶体を眼内レンズに変えたのですから、脳に届く情報は大きく変わります。
多焦点眼内レンズは単焦点眼内レンズに比べて慣れに多少時間がかかります。
脳はその新しい情報に慣れるまでどうしても時間が必要になります。
見え方に違和感があっても、時間が解決してくれることが大半なのでご安心してください。
むしろ多焦点眼内レンズが高機能であるために単焦点眼内レンズよりも慣れるのに少し時間がかかるのです。


Q:脳が慣れれば見えにくさはなくなるのですね。
違和感が改善されれば、若い頃と同じように見えるようになりますか?

A:術後の見え方の感じ方は患者さまによって個人差はありますが、白内障になる前と全く同じというわけではありません。
目の中でレンズの役割を果たしている水晶体は、薄くなったり厚くなったりすることで、近くや遠くにピントを合わせています。
多焦点眼内レンズは水晶体のように屈折力を変えるわけではありません。
3焦点眼内レンズの場合は遠くと近くと中間地点の3か所に、目に入ってきた光を振り分けてピントが合うようになっています。
水晶体と多焦点眼内レンズでは、ピントの振り分け方が違うので、それに慣れる時間が必要です。
しかし、術後すぐはこの見え方が気になっていた患者さまでも、次第に慣れることが大多数です。
見え方の違和感はほとんどなくなります。


Q:多焦点眼内レンズは夜間、単焦点眼内レンズに比べると見えにくいとも聞いたことがあるのですが、これもだんだん慣れるのでしょうか?

A:多焦点眼内レンズといえども、暗い場所で手元の文字は慣れに時間がかかります。
また多焦点眼内レンズによる手術の直後は、夜間にハローやグレアという現象が起きることがあります。
ハローとは光のまわりに光の輪がかかったように見える現象で、グレアは光がにじんで見えることです。
多焦点眼内レンズは単焦点レンズよりもハローやグレアをやや感じやすい傾向がありますが、白内障手術後時間の経過とともに軽減し、気にならなくなることが一般的です。
仕事で夜間の運転が多い方などは術後数か月ご不便を感じる場合もありますが、生活や仕事に大きな影響が出る患者さまはほとんどいらっしゃいません。
さらに当院で多くの患者さまの手術に使用している3焦点の多焦点眼内レンズ「パンオプティクス」と連続焦点型多焦点眼内レンズ「テクニスシナジー」は、ハローやグレアなども軽減されています。


Q:違和感や見えにくさがなくなれば、視力も変わりますか?

A:私がこれまでに行った4000件以上の多焦点眼内レンズの患者さまの中には、白内障手術直後よりも3か月~半年後の方が、見え方が改善する場合があります。
特に時間の経過とともに手元を見るときの視力がよくなってきます。
目から脳への情報伝達は、最初はたくさんの神経細胞を通り遠回りしてしまうのですが、慣れると近道ができるので脳に届くのが早くなって、より見えやすくなるのです。
また多焦点眼内レンズは、白内障の治療と同時に近視や老眼も治すことができます。
乱視用のトーリックレンズもありますから、乱視の改善も可能です。
日常生活の中でメガネはほぼ必要なくなりますから、患者さまの満足度は非常に高いです。
仕事に趣味にとアクティブな生活を送れるようになり、多焦点眼内レンズによる白内障手術を受けて人生が変わったとおっしゃる患者さまは少なくありません。
当院では患者さまお一人おひとりの目の状態やライフスタイル、見え方のご希望などに合わせてアドバイスしています。
どうぞお気軽にご相談ください。