眼内レンズの種類や特徴を教えてください

 

Q:白内障手術で入れる眼内レンズには、どんな種類がありますか?

 

A:眼内レンズには、大きく分けると単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの2種類があります。
そして多焦点眼内レンズにはEDOFレンズ(焦点深度拡張型レンズ)、2焦点眼内レンズ、3焦点眼内レンズやハイブリッド型多焦点眼内レンズ(EDOFレンズと2焦点眼内レンズを組み合わせたデザイン)があります。
ただしEDOFレンズは基本的には2焦点眼内レンズと似た構造ですので、2焦点眼内レンズの一種とも言えます。連続焦点型レンズはデザイン的には3焦点眼内レンズに近いコンセプトです。
現在ではEDOFレンズ(焦点深度拡張型レンズ)や2焦点眼内レンズの使用頻度は減少し、3焦点眼内レンズやハイブリッド型多焦点レンズが世界的に主流になっています。
なおハイブリッド型多焦点レンズは連続焦点型眼内レンズとも言う場合もあります。

2焦点眼内レンズの代表的なものはレストア(Acrisof IQ ReSTOR)、アクティブフォーカス(Active Focus)、テクニスマルチフォーカル(TECNIS Multifocal)、レンティス(Lentis、日本未認可)です。EDOFレンズの代表的なものはテクニス・シンフォニー(TECNIS Symfony)やMini Well Ready(ミニウェル・レディー、日本未認可)、3焦点眼内レンズの代表的なものはパンオプティクス(PanOptix)やファインビジョン(FineVision)、ハイブリッド型多焦点レンズ(連続焦点型眼内レンズ)の代表はテクニス・シナジー(TECNIS Synergy)です。

大宮七里眼科では2022年5月現在、日本未認可の眼内レンズは使用していません。現在では日本で認可されている眼内レンズが最も高機能な多焦点眼内レンズです。以前は日本で未認可の眼内レンズの方が高機能だったこともあるのですが、現在では日本未認可の眼内レンズを使う必要はなくなりました。


Q:眼内レンズの種類によって焦点の数が違うのですか?

 

A:そうです。単焦点レンズは、その名の通りピントが合う距離が、遠距離、中間距離、近距離のいずれか1つになります。若い人の目には調節という機能があります。調節をする能力のことを調節力と言います。本体の人間の目は水晶体の屈折力を変えることで様々な距離にピントを合わせています。しかし眼内レンズは、基本的にその調節力がありません。特に保険診療による白内障手術で使用する単焦点眼内レンズではピントを一箇所の距離にしか合わせることができません。自由診療ではなく公的保険が適応されるので、手術費用を安く抑えることができますが、単焦点レンズによる白内障手術では、手術の後に焦点があっていない距離を見るためには必ずメガネが必要になります。

単焦点眼内レンズによる手術の場合には、基本的に遠くにピントを合わせます。したがって手元を見るときには手元用のメガネが必要です。しかし手元のメガネをかけているときには遠くにはピントが合っていないのでぼやけて見えます。したがって手元を見ているときに急に遠くを見なければいけないときには、いちいちメガネを外さなければいけません。
白内障手術が始まった当初はこの単焦点レンズのみしかありませんでしたが、2007年に焦点を遠方と近方の2か所に作ることができる多焦点眼内レンズが国内で認可されました。大宮七里眼科は2008年9月に開業し、すぐに同月から多焦点眼内レンズの使用を開始しました。2022年現在までに4,415件の多焦点眼内レンズを使用した白内障手術を行いました。


Q:多焦点レンズなら複数の距離でピントが合うので、メガネは必要なくなりますか?

 

A:大宮七里眼科でも従来使用していた2焦点の多焦点眼内レンズは、光の屈折や回折の特性を利用して、遠くと近くの2か所に焦点が合うように設計されていました。近くも遠くもはっきり見えるようになるので、術後にメガネを使わなくなる方がほとんどでした。

ただし2焦点レンズは、中間距離にはピントを持ちませんでした。しかし手元のピントと遠くのピントを使って中間距離を見ることができましたので、単焦点眼内レンズよりは中間距離をはっきりと見ることができました。
よって2焦点眼内レンズでも約90%の方はメガネが不要となりました。

中間距離は50センチから1メートルくらいの距離をさします。(ただし医学的には中間距離の明確な定義はありません)例えばお料理をする時の手元やパソコンの画面などまでがちょうどこのくらいの距離になります。車の運転をされる方なら、カーナビの距離です。
日常生活の中で中距離を見ることは意外に多いのです。
よって2焦点眼内レンズを使用した白内障手術の後に、中間距離をよりはっきり見るためのメガネが必要になるケースが、稀ですがありました。

そこで開発されたのがパンオプティクスやファインビジョンなどの3焦点眼内レンズや、連続焦点型眼内レンズのテクニス・シナジーです。
これらのレンズは中間距離にもピントを持ちますので、2焦点眼内レンズよりも中間距離を
はっきりと見ることができます。
どんな多焦点眼内レンズを使った手術でも100%メガネがいらなくなるとは言えませんが、これら3焦点眼内レンズや連続焦点型レンズでは、2焦点眼内レンズよりもさらにメガネが不要になる確率が上がり、手術の後にメガネを作るケースはさらに減りました。


Q:毎日パソコンを使う方に合っている眼内レンズはどれですか?

 

A:遠くと手元だけでなく中距離もはっきり見たいという患者さんのために私がお勧めしてるのは、3焦点の多焦点眼内レンズであるパンオプティクスやハイブリッド型多焦点レンズ(連続焦点型眼内レンズ)であるテクニス・シナジーです。パンオプティクスやテクニス・シナジーは50㎝から60cmの中距離でもしっかりとピントを合わせることができるようになったため、パソコンを長時間使う方でもメガネを使わずに見え、快適な生活が楽しめるようになったと、多くの患者さんに大変喜ばれています。3焦点眼内レンズやハイブリッド型多焦点レンズ(連続焦点型眼内レンズ)は、パソコンを使う作業が多い人を対象として開発されたレンズです。今はシニア世代の方でもインターネットで調べものをしたり、仕事で毎日パソコンを使っている方が増えているので、中間距離の見えやすい眼内レンズのニーズが高かったために、従来の2焦点眼内レンズを改良して開発されたのが3焦点眼内レンズやハイブリッド型多焦点レンズ(連続焦点型眼内レンズ)です。

またパンオプティクスやテクニス・シナジーには、乱視矯正のタイプもあります。乱視とは角膜の表面が歪んでいるために焦点を一点に選べない状態です。白内障と乱視の両方がある患者さんの場合、以前はまず白内障手術を行った後、レーシック手術で乱視を治療していました。患者さんは2回の手術が必要で負担が大きかったのですが、乱視用のパンオプティクスやテクニス・シナジーを使用すれば1回の手術で白内障、近視や遠視、老眼、さらに乱視も治せるようになりました。

さらにこれまでは白内障の手術後、街の明かりや車、オートバイなどのヘッドライトの光のまわりに輪ができてにじむことや、ギラギラして見えることがありました。これをハロー現象やグレア現象と言い、手術の際に2焦点眼内レンズを入れた患者さんに起きやすい症状でした。パンオプティクスやテクニス・シナジーではこういったハローやグレアも少ないと言われています。

患者さんが手術後に希望する理想の見え方を実現するために、眼内レンズは進化しています。白内障手術で入れる眼内レンズは原則として交換せず一生使うことになるので、主治医と相談の上よく比較検討して選んでください。